飲食店オーナーが、働いている従業員に飲食店を売ることがあります。
そのときのオーナー側の処理と、店舗を買い取った従業員側の処理を確認していきます。
売ったオーナー側
飲食店を売ったオーナー側は、譲渡所得と事業所得の申告になります。
居抜き譲渡したので、売ったモノ全てを譲渡所得になりそうですが、事業所得も一部絡んできます。
総合(短期、長期)譲渡所得と事業所得に区分されます。
資産の種類 | 所得区分 |
内部造作 | 総合課税の譲渡所得 |
10万円未満、20万円未満の一括償却資産 | 事業所得 |
上記以外の減価償却資産 | 総合課税の譲渡所得 |
棚卸資産 | 事業所得 |
後述しますが、飲食店を買った従業員側に譲渡明細が必要になります。
そのためにも、契約書は「譲渡対価一式〇〇万円」とせずに、明細も同時に作成しておいたほうが良いでしょう。
総合課税の譲渡所得は、所有期間で「短期」「長期」を区分します。
取得日から譲渡日までの所有期間が5年以下➡短期
取得日から譲渡日までの所有期間が5年超➡長期
になります。
総合(短期・長期)譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除50万円(短期、長期合わせて最高で50万)
また、短期譲渡所得は全額が総合課税の対象になりますが、長期譲渡所得は、上記所得の1/2が総合課税の対象です。
買った従業員側
今まで働いていた環境をそのままで引き渡しを受けることになり、居抜き物件を購入したことになります。
購入時の注意点は、契約書の記載です。
それは、「譲渡対価〇〇万円」だけのケースです。
数字を3,000万として話を進めます。
何も記載が無ければ、建物や建物付属設備として3,000万円を資産に計上し、減価償却で費用化していくことになるでしょう。
税理士として、明細がない3,000万円をまるまる経費と処理することはできないですね・・
買い取った資産の明細をもらうようにしましょう。
明細によっては、消耗品等の経費になるものが含まれていることが多いです。
オーナーとの関係が壊れてしまうと、明細をもらえないこともありえます。
そういったことも想定して、従業員とオーナーとの間に、第三者的な仲介のコンサルや税理士を挟んでも良いかもしれませんね。
明細(内訳) | 金額 | 会計処理 |
イス、テーブル、食器等(10万未満) | 5,000,000円 | 消耗品 |
内装 | 20,000,000円 | 建物付属設備 |
厨房の冷蔵庫 | 3,000,000円 | 器具備品 |
給排水設備 | 2000,000円 | 建物付属設備 |
イス、テーブルのように1つの値段が10万円いかないものでも、数が多ければそれなりの金額になります。
上記の例では500万円です。
決して小さくない金額ですが、消耗品として経費処理してしまって大丈夫です。
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