値引きになるのか損害賠償になるのかは、伝票や請求書だけで簡単に判断するのは難しいです。上場子会社経理に在籍していたときの、「他社からのクレームがあり損害賠償分の支払いをしなきゃ!」と急ぎの相談を受けたことがありました。ただ、よくよく聞いみていると、モノは引き渡しており「それって単なる値引きなんじゃないの?」ということも。
「クレーム」という言葉だけで判断できない
クレームによる返品・代金減額は、要するに値引きです。
「クレーム=損害賠償」という図式で簡単には割り切れません。
具体的に検討しないと、請求書や伝票からは判断できません。
例えば、
不良品を販売→全額返品となった➡これは返品
不良品を販売→代金の一部減額➡これは値引き
になります。
請求書に「クレーム」とあっても返品や値引きになることは十分にあり得るのです。
消費税に影響がある
クレーム処理の損害賠償費用は、消費税が絡んできます。
【値引き(課税取引)になる場合】
不良品、相違、破損のクレームにより支払う損害賠償金が、単なる値引きとなり課税取引となります。
【対価性がない(不課税取引)になる場合】
値引きとならない損害賠償金は、不課税取引となります。
損害賠償に該当するのは
損害賠償とは、ある行為によって損害を被った相手への賠償です。
損害が発生したことによる、金銭的な賠償です。
返品や販売代金の一部減額となるケースでは、損害賠償ではなく単なる値引き返品に該当します。
販売代金を大幅に上回るご迷惑をかけた場合に、損害賠償金が発生するのでしょう。
「クレーム」という言葉に惑わされずに判断しましょう。
【関連:値引、返品、仕入と割引の考え方】
【編集後記】
さいたま新都心へ。以前勤めていたときのお客様の美容室前を通りかかり、懐かしい気持ちに。