経理していると長期前払費用や繰延資産という言葉が、決算ごとに出てきます。きちんと前提条件を合わせて打合せしないと、会計のことなのか、税務のことなのかごちゃごちゃになります。
※ディズニーランドにて。これもアーケード??
繰延資産の定義
法人が支出する費用のうち、支出の効果が1年以上に及ぶものをいいます。
本来は費用だけども、資産に計上するものです。
会計上の繰延資産とは
会計上の繰延資産は、下記の5つのみです。
(1)創立費(2)開業費(3)開発費(4)株式交付費(5)社債等発行費用
税務上の(法人税法)繰延資産とは
上記の会計上の繰延資産の他に、次のものをいいます。
(6)便益を受ける公共的施設、共同的施設を設置するのに支出する費用(例:アーケード)
(7)賃貸契約の礼金
(8)権利金等
(9)広告宣伝用資産の贈与費用
(10)自己が便益を受けるために支出する費用
色々と例が列挙されていますが、クラウドサービスの導入費用が多額になる場合は、税務上の繰延資産として処理するケースが一般的です。
月々のクラウドサービスの支払は、費用処理します。
税務上の繰延資産は、B/Sで「長期前払費用」で計上するから、分かりにくい
貸借対照表(B/S)上、
会計上の繰延資産→繰延資産
税務上の繰延資産→長期前払費用
として計上することが多いです。
その為、長期前払費用には、例えば数年分の保険料を支払った場合に計上される長期前払費用と、税務上の繰延資産が一緒の勘定科目になっています。
同一の勘定科目で計上されてしまい、混乱する原因となります。
消費税の処理
長期前払費用(会計)→支出時点でななく、費用として処理した時点で課税仕入れの対象(課税仕入の対象となるもの)
繰延資産→支出時点で課税仕入れの対象(課税仕入の対象となるもの)
管理方法
期末決算になり、繰延資産や長期前払費用の償却を忘れるリスクがあります。
長期前払費用→エクセルに管理していきます。
繰延資産→固定資産台帳に記録し管理していきます。
繰延資産は、固定資産台帳に記録するので、減価償却費の計上と同じタイミングで償却していきます。
一方、長期前払費用は忘れるリスクが高いです。B/Sの前期比較をすれば、変化がない項目について気付けますので、そこでチェックする方法があります。
最終的に判断するのは人。入口で間違えると、どんな凄い管理方法でも無意味になってしまう
今まで書いてきたような繰延資産や長期前払費用の論点は、分かりにくく、ごちゃごちゃしています。
エクセルなどに精通していて、レベルの高い管理用のエクセルを作っていても、入口で判断を誤ると会計・税務的に間違いとなってしまいます(大きいミスでは、無いでしょうけど)。
なので継続した勉強が必要かと。どんな業種・業界でも同じでしょうけども。
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【編集後記】
サッカー日本代表は、ワールドカップ直前に監督交代しました。スペイン代表でも、初戦48時間前にロペテギ監督が解任されました。選手には大会に集中するよう求めておき、ロペテギはマドリーの監督就任です。混乱はあるのでしょうか。全ては結果次第!でしょうか。