雇用主は、従業員に健康診断を受けさせる義務があります。サラリーマンは年1で健康診断を受けているでしょうし、会社の規則等で30歳以上は人間ドックを受けている方もいるでしょう。独立や企業した場合の健康診断費用の取扱いです。
個人事業主(フリーランス)
個人事業主本人の健康診断にかかった金額を必要経費にできません。
冒頭に健康診断の主旨を記載しましたが、あくまでも従業員に健康診断を受けさせる義務があるので、個人事業主本人は対象とならない、という理解です。
医療費控除の対象になることも
健康診断・人間ドックは医療費控除の対象にはなりません。
しかし、健康診断の結果、重大な病気が発見され、診断後に治療を施した場合には、健康診断費用が医療費控除の対象になります。
■通常の健康診断→対象外
■病気発見・治療→対象
法人
法人が支払う健康診断費用は、原則「福利厚生費」として経費にできます。
消費税は課税仕入で処理します。
もう少し細かく見てきましょう。
前提として従業員全員を対象者とする必要がある
従業員全員が健康診断の対象者となるようにしましょう。
(これは、労働安全衛生法の観点からも重要です。健康診断を受けさせないことは法令違反となってしまいます。)
税務上、役員だけ健康診断を受ける場合は「福利厚生費」とはならず「役員給与」となってしまいます。
役員給与には制約が多く、この事例のような「役員給与」は税法上経費になりません。
また社長本人の給料が上がってしまうことにより所得税・住民税の負担も増加してしまいます。
年齢制限を設けるかどうか
会社により30歳未満は一般の健康診断で30歳以上は人間ドック、というルールを設けています。
社内で規則があることを証明できれば、問題なく「福利厚生費」となります。
1人社長の場合
これはケースバイケースです。
今後社員を採用していくのであれば、就業規則等にて”社員全員を健康診断の対象”としている旨を記載しておく必要があります。
今後も雇わない予定であれば、1人社長の健康診断にかかったものは経費にはできない、という考えになるでしょう。
そもそも論として福利厚生費は、役員を含む全ての従業員に公平に給付するものです。
そのため1人社長の会社で、社長の健康診断費用を福利厚生費と処理するのは厳しいでしょう。
【編集後記】
中央線に乗り東京駅まで。ラッシュの時間帯ではなかったですが、そこそこ混んでました。ラッシュ時はもっと凄いのかと思うと・・・