会計事務所2つ経験しましたが、どちらも退職金はありませんでした。
「この業界、退職金制度は向いてないから」と説明されましたが、ちょっと意味が分からなかったです。
その意味を改めて考えていきたいと思います。
給料という名の外注に等しいから
会計事務所のビジネスモデルは、規模、業種に違いはあれどお客様からの顧問料やスポットの料金で成り立っています。
個人事業主や中小企業であれば顧問料は3万円くらいですし、もっと大きな会社になれば顧問料は上がっていきます。
子会社経理では顧問税理士はいないものの、いつでも相談できるスタイルでした。
月5~7万くらいのお支払いだったと記憶しています。
スポットの相続は、相続財産の〇%くらいと決めている事務所が多いでしょう。
会計事務所は、在庫はありませんが労働集約型ビジネスです。
労働集約型ビジネスなので、年間の売上から従業員への給料が決まります。
私は給料といいつつ、”外注費”だと感じていました。
給料をあげるには、①担当顧問先を増やすか、②顧問料をアップするかになります。
ただ、顧問料アップをイチ従業員ができるのか不明です。
裁量制度を採用している事務所もあると聞いたことはありますが、私は経験したことはなく。
会計事務所に転職するとき「やったらやっただけあげる」みたいな謳い文句を聞かされた記憶があります。
結局は、外注みたいな働き方をしつつ、給料は一定の事務所が多いのではないでしょうか。
私はそうでした。
繁忙期に月100時間以上残業しても、閑散期に残業が少なくても給料は同じでしたしね。
給料ではあるものの働き方は外注に近く、外注であれば退職金はないです。
給料と外注の良いことろを採用しているのかなという印象です。
ただし、社会保険には加入しているので、そこは会計事務所が半分負担してくれてはいます。
会計事務所の労働分配率は64%【2020年資料による】
この記事では「労働分配率は35%くらいが妥当かも」と書いていたのですが、日本政策金融公庫の資料によると64%が平均のようです。
クリックしてsme_findings2_202008_11b.pdfにアクセス
ご自身の売上に64%をかけてみると良いかもしれません。
従業員が長期間働くことを想定していないから
退職金は、従業員が長年勤めてくれたことに対する支払いという意味合いもあります。
子会社経理でも10年、15年と勤めて退職する人もいました。
ですが、会計事務所では数年で転職や独立する人が多いので、短期間に従業員が去っていくことが一般的かもしれません。
労働条件の悪さが原因だとは思いますが、人の出入りは多いです。
退職給付制度では、退職金を賃金の後払いと捉えています。
退職給付に関する会計基準上は、退職給付は基本的に労働協約等に基づいて従業員が提供した労働の対価として支払われる賃金の後払いであると捉えています(平成24年改正会計基準53項)
※新日本有限責任監査法人
こちらについても、給料ではあるものの外注的な働き方なので、退職金は出ないのでしょう。
中退共制度もありますが、1年未満の退職だと従業員はもらえませんしね。
勤務年数4年の退職金よりも2年間の小規模企業共済のほうが大きい