社会保険の削減のために役員賞与(事前確定届出給与)を出すのは本当に得なのか?年収1,800万円で試算

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月の給料(定期同額給与)を8万円など安い金額にして、賞与(事前確定届出給与)でドーンと支払う方法があります。

なんでそんなことするのか?
それは社会保険の削減のためと言われています。

年収1,800万円で試算してみました。
月の給料が8万円(年間96万円)と賞与1,704万円。

 

賞与の健康保険と厚生年金の算定方法

・賞与の健康保険料:賞与額 × 保険料率 (約10%)× 1/2

・賞与の厚生年金保険料:賞与額 × 厚生年金保険料率(18.3%) × 1/2

※役員を念頭に置いてますので、雇用保険は無視します。

1/2するのは役員個人負担を計算するためです。

 

【賞与】

賞与額には上限額があります。
賞与1,700万円なので上限に引っかかります。

健康保険は573万円、厚生年金は150万円が上限。

・健康保険:573万円×10%×1/2=286,500円

・厚生年金:150万円×18.3%×1/2=137,250円

・合計423,750円

【給料】

これに月8万円の給料に対する社会保険料。

・健康保険:3,800円×12カ月=45,600円

・厚生年金:8,000円×12カ月=96,000円

合計141,600円

 

賞与と給料の社保合計は、565,350円(423,750円+141,600円)。

 

 

確かに賞与(事前確定届出給与)のほうが得ではあったが、その金額は50万円ほど

年収1,800万円(月の給料8万円+賞与1,704万円)で試算してみました。

年収 18,000,000(賞与あり) 18,000,000(賞与なし)
給与所得 16,050,000 16,050,000
健康保険、厚生年金① 565,350 1,500,000
その他控除額② 1,323,000 1,323,000
控除合計額①+② 1,888,350 2,823,000
課税される所得 14,161,000 13,227,000
所得税 3,137,100 2,828,900
住民税 1,416,100 1,322,700
税金合計 4,553,200 4,151,600
健康保険、厚生年金、税金合計 5,118,550  5,651,600

 

健康保険、厚生年金は所得税の計算上、引くことができます。

賞与で減らせた健康保険、厚生年金ですが、税金負担は増えました。

上記表の下に健康保険、厚生年金、税金の合計を記載しています。

・賞与あり→5,118,550円

・賞与なし→5,651,600円

差額50万円ほど。

 

そこまでのメリットはない?

50万円お得になる!という考え方もできますが、私は否定的に見ています。

「役員賞与(事前確定届出給与)を出す」って口ではカンタンに言えますが、いざやってみるとめんどくさいです。

・支給日、支給額の決定
・議事録作成
・事前確定届出給与の用紙に記載し税務署に提出

1日支給日がズレたくらいでは問題ないかと思いますが、人間うっかりがあるものです。

しかも合同会社は明確になっていないこともあります。
任期の定めがある合同会社は、社員総会(≒株主総会)の決議で事前確定届出を出せることになっています。
ですが、任期の定めのない合同会社については言及されていません。

そこを50万円のために攻めるのか?となると、「攻めなくてよいんじゃない!?」と思ってしまいます。

 

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