外資系企業に勤務する方は、RSUの付与や譲渡があり確定申告が必要になるでしょう。
RSUとは
Restricted Stock Unit(リストリクテッド・ストック・ユニット)の略です。
日本語では譲渡制限付き株式、です。
RSUとは、一定期間経過後、勤務する外資系企業の株式を無償でもらえる制度です。
一定期間が経過してから、株式が自分のものになります。
RSUは、権利付与された時点(Grant)では課税されません。
権利付与後、一定の期間、その会社に勤務する必要があります。
一定期間が終了し、株式を自己所有したとき(Vest)に課税されます。
ざっくり言ってしまうと、”株式を付与でするけど一定期間、勤務したらあげるね!それまで株価を上げるように業績向上するためにも頑張ってね”という感じでしょうか。
Grant | Vesting | Vest |
付与 課税なし | 一定期間 課税なし | 株式を所有時点 課税あり |
ストックオプションとは違う
ストックオプションは、権利行使価格で株を買う権利になります。
権利行使をして株を買います。
ストックオプションの経済的利益の額は「株式の価格-権利行使価格」となりますが、RSUではVest時点での株式価格となります。
RSUが付与されたとき 給与所得
RSUが付与されたときに課税されます。
給与所得になります。
「外国親会社等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に関する調書」という長ったらしいものを渡されるので、それを見ながら給与所得の確定申告をします。
この調書に、「供与を受けた株式の価額又は金銭その他の経済的利益の額」という欄があります。
これに、供与等の年月日の為替レートをかければOKです。
※権利付与年月日のレートではありません。
権利付与日は数年前に権利が付与されたときであって、株式を自分のモノにしたときのレートになります。
VestされたRSUは、「経済的利益の額×為替レート」で算出します。
この金額が給与所得になります。
普段、会社から支給される給料は源泉徴収されていますが、RSUは源泉徴収されていません。
なので、RSUの分、源泉徴収されずに年収が上がることになります。
年末調整していても、確定申告で精算が必要です。
RSUを売却したとき 譲渡所得
保有する株式は、すぐにでも売却することが可能です。
売却したときは譲渡所得です。
「譲渡所得=売却収入―(取得費+手数料)」です。
株式を売却した金額は、証券会社の明細を確認します。
取得費は、RSUをVestしたときの価格です。
また、同一銘柄を2回以上にわたって取得している場合の取得費は、「総平均法に準ずる方法」で取得価額を計算することとされています。
取引日 | 取得数量 | 単価 | 取得費 | 売却数量 | 単価 | 売却収入 |
1月 | 200 | 200 | 40,000 | |||
2月 | 100 | 220 | 22,000 | |||
3月 | 200 | 190 | 38,000 | |||
4月 | 200 | 300 | 60,000 | |||
5月 | 100 | 250 | 25,000 | |||
6月 | 100 | 230 | 23,000 | |||
7月 | 200 | 250 | 50,000 |
※所得税確定申告書の手引き参照
4月に200株を300円で売却しました。売却収入は、60,000円になります。
その取得費は、(200株×200円+100株×220円+200株×190円)÷(200株+100株+200株)×200株=40,000円です。※単価は200円、残り株数300)
7月に200株を250円で売却しました。売却収入は、50,000円になります。
その取得費は、(※300株×200円+100株×250円+100株×230円)÷(※300株+100株+100株)×200株=43,200円です。※単価は216円です。
単価は翌年に引き継がれます。
証券会社からの明細はきちんと保管していないと平均計算ができないですね。
確定申告に必要なRSU関係書類
・源泉徴収票
・外国親会社等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に関する調書
・証券会社からの明細(株式を売却した場合)
があればRSUの確定申告はできます。
そのほかに医療費、ふるさと納税、投資用不動産などあればもちろん確定申告する必要があります。